翻訳・通訳から人事へのキャリア転換を目指すことに

 

短大卒業後はアメリカの大学に進学し、そのままアメリカで働いていました。しかし、勤めていた会社が1年で倒産。泣く泣く帰国して「どうしようか」と思っているときに出会ったのが語学力を生かした翻訳の仕事でした。その後、大型テーマパークの開園に伴い通訳の仕事に就きました。

通訳の仕事は楽しかった一方で、物足りなさをも感じていました。なぜなら、通訳は人と人のコミュニケーションを仲介する役割であるために、ときには透明人間のような黒子に徹することも大事。自分の感情を入れずに訳すことが求められる通訳は、つい自分の意見を伝えたくなる私の性格と合わず、窮屈に感じてしまったんです。

そこで、英語を使って人と接することのできる外資系企業の人事を目指すことにしました。ある夜これからのキャリアについて考えているときに、自分が外資系企業の人事として採用にかかわっている絵がパッと浮かんで、ドキドキしたからです。こうした直感的なイメージが湧いたときに、“興奮でドキドキわくわくしたら、それが自分の進むべき方向だ”と思っていたので、「この道に進もう」と決めました。

 

天職だと感じたキャリアコンサルタント

 

ただ、中途採用で人事に就くのはハードルが高かったため、まずは語学系の専門学校のキャリアセンターで働きました。人事になるためのキャリアステップとして選んだ職場でしたが、これが運命の出会いに繋がります。学生のキャリア相談に乗ることは、すごく楽しくやりがいがあって、「私が一生続けていく仕事はこれだ」と思ったんです。一方で、「回り道をして、いろんな経験やスキルを手に入れた上でキャリアカウンセラーになりたい」とも思ったので、1年ほどそこで働いた後は外資系企業の人事に転職しました。

人事として、リーダーを育成するためのトレーニングプログラムを運営したり採用活動に携わったりしました。3~4年キャリアを積む中で、世界にはとても優秀な人がたくさんいることを知り、同時に自分が彼らに及ばないことも痛感しました。また、組織で働くことに窮屈さも感じていたため、周りから「もったいない」と言われながらも退職したんです。その後は外資系企業でヘッドハンターも経験しましたが、キャリアカウンセリングは得意である一方で、その方を企業に売り込む営業のプロセスに苦手意識があり苦戦。リーマンショックの影響でお客様が採用を辞めたことも影響して、私も退職を余儀なくされました。

紆余曲折あったものの、この後にキャリアカウンセラーの道を歩み始めることになり、2008年から関西学院大学のキャリアセンターで働き始めました。

 

パラレルキャリアのひとつが、アカルクでのキャリアカウンセラー

 

通算8年ほど大学のキャリアセンターで働いていたのですが、あるときイベントで堀川さんと出会います。食事にも行って意気投合し、「一緒に仕事ができたらいいですね!」と盛り上がりました。私は海外生活が長く、周りにゲイやレズビアンの友達も多かったのでLGBTに馴染みがあったんです。堀川さんと話すうちに、アカルクでキャリアカウンセラーのスキルや経験が求められていると知ったため、貢献できそうだと思いました。

今はキャリアカウンセラーとしての仕事に加えて、通訳や英語を教える仕事もしつつ、アカルクの仕事もしています。実は、キャリアカウンセラーにはパラレルキャリアを歩んでいる人がたくさんいて。私も自分の性格的に、メインの仕事を1つだけするでのはなく、得意なことや自分の武器を組み合わせたパラレルキャリアの方が合っていると感じていたので、自然な流れで今のキャリアを選びました。今は、キャリアカウンセリングも自分のやりたい分野だけやるし、通訳も好きな話題に関するものだけ受けるという風にしています。

「副業解禁」の動きが世の中で進んでいて、「本業・副業」と語られることも多いですが、私には「パラレルキャリア」という言葉の方がしっくりきます。メインとサブではなく、どれもがメイン。すべての仕事にプロフェッショナルとしての自信と誇りを持って取り組んでいるからです。

 

「キャリアカウンセラー×通訳×ダイバーシティ領域」で生まれた新しい仕事

 

パラレルキャリアの経験が、思いがけないところで繋がったエピソードがあります。アカルクでは、企業の人事向けにLGBTの相談窓口を開設しているのですが、「多言語版もやってほしい」と企業から依頼をいただいて。堀川さんから「ゆかさん、英語版への対応をお願いできませんか?」と頼まれたのです。

これまで、パラレルキャリアは二つの場所で並行してキャリアを積むことであるため、キャリアカウンセリングと通訳の仕事が交わると考えたことはありませんでした。今回新たなお仕事をいただいて、「それぞれのキャリアが掛け合わさって、相乗効果が生まれることもあるのか!」と驚きました。

おそらく、こういったシナジーは狙って生み出せるものではありません。1つ1つのキャリアを自分にとってハッピーな環境で、全力でやってきた先に生み出されたのだと思います。自分の持つ力を発揮するチャンネルを複数持っておくパラレルキャリアは、精神衛生上も良く、人生の満足度を上げることにも繋がると実感していましたが、それぞれのキャリアが掛け合わされることで自分の可能性が何倍にも膨れ上がるなあと感じています。

 

ダイバーシティ問題全般に対する、支援者の当事者意識を育てていきたい

 

このようにパラレルキャリアの一つとしてアカルクに関わっていますが、アカルクはにぎやかで前向きで、居心地の良い空気の流れている環境だと感じます。堀川さんは、メンバーを信じて裁量権を渡して、とにかく自由にやらせてくれます。自分の担当領域からはみ出ることにも挑戦してみたいと思う意欲あるメンバーがいれば、「やってみて!」と背中を押してくれる方です。

私自身がこれから挑戦してみたいことは、人事やキャリアカウンセラーなど、LGBTの問題に支援側として関わる人たちの意識の底上げです。当事者ではない人たちが、いかに自分ごととして問題を捉えられるかが重要だと思いますし、彼らに当事者意識が醸成されればダイバーシティ全般のあらゆる問題解決に繋がると思うからです。勉強会などの機会を設けながら、彼らの意識改革を進めていくことが私の使命だと思っています。