「アンコンシャス・バイアス」という言葉を聞いたことはありますか?
今回は、「アンコンシャス・バイアス」と、その中でも特にジェンダー(社会的・文化的な性別)に紐づいている「ジェンダーバイアス」についても触れていきます。
ジェンダーを理由とした無意識の偏見は思い込みは、コミュニケーションの阻害だけでなく、自分を表現できず自信を失ったり、周囲に本心を話せないきっかけになることもあります。
そうした状況は、人間関係だけでなく、従業員の能力発揮を妨げ、チーム全体の生産性にも大きく影響を及ぼす可能性があります。
本記事では、職場におけるアンコンシャス・バイアスについて知り、LGBTQ+当事者の人の場合だと特にどのような行動や発言にジェンダー・バイアスを感じとっているのか、誰もが安心して働ける環境づくりや、仕事仲間とのチームワークの向上を目指すヒントを学んでいきましょう。
アンコンシャス・バイアスの意味
まず最初に「アンコンシャス・バイアス」とは、一言で表すと「無意識の思い込み」のことです。自分自身では気づかず、特定の物事に対して偏った見方をしてしまうことを表します。
たとえば、「雑用や幹事は若手の仕事だ」「血液型が〇型の人はこうだ!」「育休を取得する男性は出世欲がない」など無意識に圧力(以下バイアス)がかかっており、日常的な発言に表れます。これ等の発言はLGBTQ+だけに向けられる話ではなく、すべての人に共通します。
アンコンシャス・バイアスの種類
アンコンシャス・バイアスには様々な種類があります。主な種類とそれぞれの意味を確認してみましょう。
アンコンシャス・バイアスの対処法
アンコンシャス・バイアスは無意識がゆえに気づきにくいかもしれませんが、誰もが多少なりとも持ち合わせているものです。あることが良い、悪いというものでもありません。
一方で、無自覚ゆえに無自覚に誰かを傷つけている可能性もあるからこそ、自己認識することが最も重要です。
では具体的にはどのように自己認識をすればよいか考えていきましょう。
■自分の無意識に気づく
まず、1つ目に、自分の無意識に気づくことが重要です。日々の自分の言動や発言を振り返り、自らに「なぜそう思ったのか」「なぜそう言ったのか」を問いかけ、自分の無意識に気づく練習をしましょう。
■決めつけない
2つ目に、決めつけないということです。
自分の言動や行動が決めつけになっていないか、「〜するべきだ」「〜ではないとだめだ」という発言をしたときに、決めつけていないか、押し付けていないか、なぜそう思うのかと、振り返ってみましょう。
■相手軸で考えてみる
3つ目に、相手軸で考えてみることが大切です。
自分はこうだと思っていても相手も同じとは限りません。コミュニケーションをとる相手がどう思うかを軸に、相手視点で物事を考えてみましょう。
コミュニケーションをとるうえで認識が相手と同じかを丁寧にすり合わせることも重要です。
ジェンダーバイアス
次に、「ジェンダーバイアス」についてみていきましょう。
ジェンダーバイアスとは、アンコンシャス・バイアスの一つで、ジェンダーに対する先入観や固定観念で決めつけることです。
日本社会では、男性らしさ、女性らしさという概念が根付いています。職場においてもジェンダーバイアスの影響がみられることがあります。
ジェンダーバイアスの課題
職場におけるジェンダーバイアスの課題とはどのようなものがあるのでしょうか。代表的な課題をご紹介します。
■経済的不平等
まず1つ目に、経済的不公平という課題があります。
同じ業績を上げていても男性のほうが賃金が高い、リーダーは男性が優先されるといった事例があります。
これにより、ジェンダーにより賃金格差や昇進機会の不平等につながります。
■社会的役割の固定化
2つ目に、社会的役割の固定化への懸念です。
性別に基づく役割分担が固定化されることで、個人の選択肢が狭まる可能性があります。
たとえば、男性は外で働き、女性は家庭内の役割を担当する事例が多く、個人のキャリア選択も制限され、社会全体の発展を妨げる要因ともなります。
■色・形のジェンダーバイアス
3つ目に、男性は青や黒色、女性は赤やピンクなどの色で性別の判断材料になっていることです。
トイレのピクトデザインでも男性はズボン、女性はスカート着用、子ども用のデザインマークなどでも男の子は星や動物に対し、女の子はハートやリボンなどのデザインがあげられます。
こうした外的要因からジェンダーの概念を押し付けられることで、自分の好きなものが言いづらくなったり、自己否定感や不安感を抱くこともあります。
■言葉のジェンダーバイアス
4つ目に、「男らしい」「女らしい」といった表現や、「女性にしては優秀だ」「女性なのに理系だ」「男性なのに料理が得意だ」「男性なのに繊細だ」といった性別で決めつけたイメージや役割の押し付けがあげられます。
これらのジェンダーバイアスは、無意識のうちに性別に基づく期待や制約を押し付けている可能性があります。
特に幼少期の頃から伝えていると、自己認識や将来の選択や人格形成にも影響を与え、性別に基づく固定観念を強くする可能性があります。
職場で気をつけたい言葉遣い
ジェンダーバイアスはハラスメントやアウティングにつながる場合があります。
ここでは、職場で気をつけたい言葉遣いについて、ピックアップしてみましょう。
性別における役割や概念を押し付けた発言になっていないかに注意が必要です。
たとえば、
- 男のくせに○○、女なのに○○
- 独身男性だから転勤が多くても大丈夫でしょ
- 毎日お弁当作っていて女子力高いね
- トランスジェンダーだから○○なんですね
- ゲイだから鍛えてるんだね
- そういうところは女性だね
などが挙げられます。これはとくに注意が必要な発言といえます。
日常の何気ない言葉が相手を傷つける可能性があります。
だからこそ、自分自身の発言や普段のコミュニケーションにおいても偏った見方で発言していないかな?と自分を見直すことや、職場であれば意図的に振り返る、気づける場をつくることが求められます。
まとめ
アンコンシャス・バイアスやジェンダーバイアスについていかがでしたか。
自己認識を持つことで、日常の言葉遣いやコミュニケーションを意識することが、ダイバーシティ&インクルージョンの本質に繋がり、その結果、職場の多様性を尊重する風土形成にも繋がります。
企業として、アンコンシャス・バイアスやジェンダーバイアスに対する意識を高めていけるような取り組みを考えてみるのはいかがでしょうか。
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